2019年3月16日土曜日

白血病の治療~私の場合~⑯ 治療を振り返って

この一年で経験した大事なこと


医療の限界


「私はこの治療がいい治療だとは思いません」

 セカンドオピニオンで訪れた病院の医師が、1時間の説明の後、私の帰り際にかけてきた言葉です。骨髄(臍帯血)移植の実績では、日本で有数の病院の血液内科医です。今でも耳の奥から離れない。

 医者も“いい治療”だと思っていないのに、患者に移植をすすめなければならない。
 患者も“大きなリスク”を解ったうえで、移植を選択する人が大半。

 これが白血病治療の現状です。ぶっちゃけ、一か八かなんですよ。(セカンドオピニオンについては「白血病の治療~私の場合~⑦」をご覧ください)

 私は移植は選択しませんでした。今も答えは出ていません。それが正しかったのかどうか。答えが出るのは、私が死んだときなんでしょうね。
 寿命いっぱいまで生きれば、「正解」だったということ。骨髄の癌が再発して死ねば「間違っていた」ということですね。いずれにしても、私は生きているうちに、その答えを知ることはできない。なんて因果な病気なんでしょうか。

「感謝」の意味


 一方で、いい経験になったと思う部分もあります。今まで「感謝」の意味がわかっていなかった、ということに気づけたということです。当然、「感謝」の意味はわかっていたつもりでした。

 抗がん剤の投与が始まり、無菌室のベッドの上で自分の体が壊れていくのが分かる。奈落の底に落ちて行くような感じがする中で、今までの人生が走馬灯のように思い起こされる。そんな時、自分はなんてわがままだったんだろうと気づくんですね。なんでもっと、周りの人に感謝してこなっかたんだろうと。

 今の自分の環境を考えたら、自分は幸せ者だったんだと気づき、涙があふれました。
 元気になったら、人の役に立ちたい、そう思いました。その気持ちは今も変わりません。

がん治療にはお金がかかる


 白血病の治療費については、「白血病の治療~私の場合~②」で書きました。
 いろいろな保険制度やがん保険、入院保険などを活用すれば、治療費や生活費は心配ないと言いました。

 これらの社会保険制度や生命保険は、通院や入院で仕事を休業しているときに、最も大きな保障が受けられます。しかし、これらは期限や制限があります。


  • 傷病手当……所属する会社で社会保険に加入していれば、休職している間は、給与の6~7割程度に相当する額が受け取れます。しかし、同一の病気では最長1年6カ月が、支払いの限度です。当然ですが、1年6カ月以内であっても復職すれば受け取れなくなります。
  • 限度額適用……国民保健、社会保険、共通の制度で、前年の収入に応じて医療費の支払い限度額が設定されているというもの(差額ベッド料金など、自費による医療費の支払いは含みません)。白血病の場合、退院した後は服薬と月一回の通院になります。癌ですから、寛解が続いていたとしても5年間は服薬と通院、経過観察が必要です。しかし、この薬の元々の値段が高い。限度額適用の上限いっぱいの額を、5年間は払い続けなければならないのです。
  • 生命保険……白血病で該当してくる保険は、がん保険と入院・通院保険などの医療保険です。しかし、手厚い保証は入院している時だけ。退院した後は通院の保証がありますが、退院後120日間とか180日間とか、期限があるものがほとんどだと思います。
 
 このように、退院して一定の日数が過ぎたり、復職したりすると、傷病手当や保険金の受け取りはなくなります。しかし、服用薬が非常に高額なため、経過が順調だったとしても限度額適用の上限いっぱいの額を払い続けなければならない。これは、かなりの負担になります。

 退院後もかかる高額な薬代。これは、できるだけの対策をとっておく必要があります。


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