総合の決勝の壁は厚い
この大会2度目の部門別優勝
2015(平成27)年5月。浦安市春季市民剣道大会(個人戦)に出場しました。
この大会は、平成24年に出場した時には壮年の部で優勝しています。(その模様はこちら)
この年は、リバ剣して5年が過ぎ、市内の近隣道場の皆さんにも顔と名前を憶えて頂けるようになった。
試合当日、会場入りすると他の道場の方々から、次々と声をかけられた。
「今日は試合にでないんですか?」
私、ちゃんと試合の準備をして、竹刀と防具を持って歩いているのに、みんなそうやって聞いてくるのです。
何かちょっとおかしいな、と思っているところに、先に会場に到着していた妻がやって来た。
聞くと、プログラムの出場者名の中に私の名前が入ってないらしく、トーナメントにも組み込まれていないそう。
私が試合参加の手続きをしていたことを知っていた役員の方が、今、大会本部に掛け合っているとのことでした。
それで納得。だからみんな"期待を込めて"聞いてきたんですね。誰も試合で二刀者となんて当たりたくないですもんね。しかし、そうは問屋が卸しません。笑
所属道場の参加者を取りまとめた方の勘違いで、私の名前だけが抜けてしまったようで、すぐに参加が認められました。地元の市民大会ですからね。まあ、そのへんはアバウトです。微笑
会場内のホワイトボードに貼られたトーナメント表の一番端に、私の名前が付け加えられました。
試合開始
一回戦のお相手は、同じ道場の高段者の方。
通常はこういう組み合わせはあり得ません。一回戦だけは、同門対決にならないように組まれますから。
しかし、今回はかの事情でこんなことに。
この先生にはいつも稽古をお願いしています。出ばな面が得意な先生で、私は小刀をあえて遣わず、大刀だけでガチンコの相面(あいめん)で稽古するようにしています。
しかし、今日は試合。あえて合わせて面にいくようなことはせず、居付いたところを「面」で二本取りました。
役員の手違いとはいえ、ちょっと申し訳ないことになってしまいました。
二回戦以降は、近隣のライバル道場の方々と、次々に当たりました。
初対戦となったのはお一方だけで、あとは今まで数回対戦している方々。皆さん非常に対二刀を研究されています。
市民大会でではありますが、そうやって警戒される立場になるなんて、リバ剣した当時には考えられなかったこと。(リバ剣して初めての試合はこちら)
この2,3年で取り巻く環境が変わりました。簡単には勝たせてもらえない。"打倒二刀"にかけているのが、伝わってくるんですね。ほとんどの試合が長い延長戦になりました。
以前でしたら試合が長時間になると、"奇策"を考えてお相手の意表をつくような技を仕掛けることが多かったと思います。それがうまくいくこともありますが、裏目に出ることが多々あった。
しかし、今回は我慢に我慢を重ね、お相手の構えを崩すことだけを考えた。そうすれば必ず打突の機会が生まれると。二回戦以降は、まさにそういう状況を作って一本を取り、試合を決めることができた。
壮年の部は優勝
今回もなんとか壮年の部の決勝戦までこぎ着けました。
お相手は、この市民大会では最も多く対戦している方で、私よりも若く高段の方。
非常に稽古熱心な方で、立合うたびに手ごわくなっていることを、ひしひしと感じる。
決勝が始まるとすぐ、果敢に攻め込んでくるお相手。私の癖がかなり研究されているのがわかります。一瞬でも気を抜けないばかりか、前半は気迫に圧倒されて、なすすべなしといった状況。
「なんとかしなければならない」という気負いがあって、鍔迫り合いから攻撃を仕掛けようとした刹那、「引き胴」を打たれてしまった。
一本を取られてもおかしくない打突だと思いましたが、幸い旗を上げた審判は一人だけ。危ないところでした。
そして間もなく試合時間が終了し、延長に入りました。ここからは、一本先取した方が勝ち。
ここまではお相手に攻め込まれる展開が続いていて、そういう苦しい展開になると足さばきが「送り足」になってしまう傾向がある。もっと大胆に攻めて準決勝までのように、お相手の構えを崩さなければと考えた。
恐怖心を捨てて思い切って「歩み足」で攻め込んだ瞬間、この試合で始めてお相手の構えが崩れた。その時、私の身体はすでに反応していて、打突は完了していました。
「面」で仕留めました。審判の旗は同時に3本上がったそうです。
総合の決勝
前回(平成24年)の総合の決勝は20代半ばの現役選手に「引き胴」をとられて負けました。
今回の青年の部の優勝者は30代半ばで、強豪校(大学)OBの方。初めての対戦になります。
「上手いな」
試合が始まってすぐに思った。"ご自分の間合い"をつくるのが上手んです。
間合いというのは、相手と自分の間の単なる距離ではないのです。
「自分にとっては打てる間合いでも、お相手にとっては打てない間合い」
間合いの攻防の中でそういう間合いをつくること、それが"自分の間合い"になります。
このお相手は、私にその間合いをつくらせない。あっという間に、ご自分の間合いにしてしまうのです。
打っていくことができれば、当たると思うんですよ。でも、打っていけない。打てる体勢になっていないんですね、攻め込まれてしまっている。自分の間合いではないわけです。
お相手の方も、対二刀を攻めあぐんでいる様子で、有効打突につながらない。
試合は、延長戦になりました。
お相手は、延長に入ってもますます血気盛ん。私の方は、息が絶え絶え。
体力を温存しようと足を止めた瞬間でした。
大刀側の小手(右小手)の拳(こぶし)を打たれた。
拳部分は打突部位ではありません。主審はそれを見極めていましたが、副審の二人が旗を上げてしまい、一本になってしまった。これで試合終了です。
厳密にいえばこれは誤審です。しかし、試合内容はまったく勝ち目のある試合ではなかった。第一、自分の間合いが一切つくれなかった。
最後は足が止まって、よけられる打突をよけきれなかったわけですから、一本を取られても仕方ありません。
非常に学ぶところが多く、勉強になった試合でした。
大会後の懇親会。
大会顧問のOOT先生(元警視庁剣道主席師範 八段範士)から、直々にアドバイスをいただきました。
「年齢とともに体力が衰えていくのは当たり前のこと。しかし、気迫はますます充実させることが出来るんですよ。年齢を重ねたら、気迫で戦うんです」
胸に刻みます。