2019年6月3日月曜日

平成26年 第13回剣正会オープン剣道大会 初出場で団体3位

ユニークな剣道大会


リバ剣後、市民大会以外は初めて


 この大会の存在を知ったのは、この1年前(2013年)。
 「オープン大会に出ないんですか?」
 ある若手実業団選手に声をかけられたのがきっかけでした。

 どんな大会か聞いてみると、エントリーすれば誰でも出場可能で、年齢、居住地、職業、経歴は多様。しかも、そこそこハイレベル。
 教員を始め公務員、実業団選手、強豪校OBなんかも出でくるらしい。
 年々出場希望者が増え、規模が拡大しているから、出場してはどうかと勧められた。

 私、試合大好きなので、興味深々で聞いてました。
 それまでは市民大会しか出場したことがありませんでしたので、その他の大会にも出てみたいと思っていたところでした。(この直近の市民大会の模様はこちら
 そして、心を動かされる言葉がありました。

 「入賞者にはトロフィーやカップが授与されるのではなく、お米や野菜、洗剤などがもらえるんですよ」

 これは面白いと思って、すぐに出場を決めました。笑
 実際問題として、トロフィーやカップをもらってもあまりうれしくありません。子供ならまだしも。
 試合に勝ったら日用品がもらえる大会があるなんて、知りませんでした。なんてほほえましい大会なんだろうと。
 道場の若手二人を誘って、1年後の大会を楽しみにしていました。

ユニークですが至ってまじめな大会


 2014(平成26)年1月。千葉県某所。
 試合会場に到着すると、壁に掲示された予選リーグ組み合わせ表の前に、人だかりができている。そして、なぜか皆、組み合わせ表を見て笑っているのです。
 私も、組み合わせを確認するため表をのぞき込んでびっくり。団体戦のチーム名が普通じゃない。

 通常は所属道場名や学校名、企業名などの団体名をそのままチーム名にします。
 この大会も私たちは所属道場名で登録してあります。しかし、そういうチームは少数派。
 他の大多数のチーム名は、例えばこんな具合。
「小手しか打てないチーム」(結果的にこのチームが優勝。超強豪チームでした)
「本物の巨人と仲間たち」(選手の一人に身長190cm以上ある方がいました)
「セーラームーン」(40歳代と思われる女性チーム。アニメのセーラームーンも実年齢はもうこれぐらいになっていると思って納得。笑)

 剣道の大会なのに、こんなふざけた名前をつけてもいいのかなって心配になりました。苦笑
 おちゃらけた大会なら、参加してもしょうがないんじゃないかと。
 しかし、そんな和やかな雰囲気も開会式が始まって一変しました。大会役員席に並ぶ先生方の顔ぶれがすごいのです。
 大会会長は剣道八段の方。副会長は開催地の市剣連名誉会長(TNK先生)。審判長も八段の方。
 至ってまじめな大会と分かり、ひと安心しました。

予選リーグ


 この大会の団体戦は3人制。私のチームは全員同じ道場で、先鋒と中堅は若手にお願いして"年寄り"の私は大将に。リバ剣後、大将を務めるのは初めて。大会役員席にはTNK先生もいらっしゃるので、恥ずかしい試合はできません。汗(TNK先生とは、こちら

 予選リーグでは、聴覚障害のある方々で結成されたチームとの対戦がありました。
 ろうあ者が剣道をされているのは、マスコミに取り上げられたりして知ってはいましたが、実際に対戦するのはもちろん初めてです。
 お相手は、審判の号令が聞こえませんので、ご自分に不利にならないのかな、なんて心配してました。しかし、立合いが始まって、それが余計なお世話だとすぐに分かりました。

 立礼から抜刀して蹲踞すると、お相手は私を見ている。
 審判を見ると思ったんですよ。号令が聞こえないでしょうから、目で審判の口元を見ると思ったんです。
 しかし立会い中、お相手がそういう動作をすることはほとんどありません。間(ま)と気(き)で号令のタイミングを読んでいるんですね。
 そうすると、号令を耳で聞いている私の方が、反応が遅れてしまうんです。
 「はじめ」と号令がかかって攻めようとすると、先に攻め込まれてしまう。
 微妙なタイミングの差なんですけど、それが脅威になって、前半は何もできませんでした。

 審判の号令を聞いて瞬時に動作を起こそうとする。それ自体が後手に回っているということが解った。
 後半は、冷静に見られるようになって、お相手の技を引き出したところを仕留めた。
 試合には勝ち、チームとしても勝ちましたが、大変勉強になりました。

 試合後にお相手チームに挨拶に行くと、皆さん喜んでくれました。言葉は通じてませんけど、決勝トーナメントに進む私たちを身振り手振りで激励してくれた。私のお相手の方は、満面の笑みで上下太刀の構え(二刀の代表的な構え、上段の構えの一種)をしてくれました。笑

決勝トーナメント


 若手の活躍で順調に勝ち進みましたが、私は決勝トーナメントに入って勝ち星なし。
 準々決勝のお相手は強豪校の現役大学生チーム。
 この試合、全員引き分けて、代表戦になりました。

 この場合、任意の一人が代表戦に出ます。チームの3人で話し合うか、監督がいれば監督が決めます。
 この日の私の調子はいまいちでしたが、先鋒の若手はここまで全勝。
 監督は先鋒の若手を代表に指名すると誰もが思いました。
 しかし、代表に指名されたのは私。
 「なんで」って思いましたが、やるしかない。代表戦なんてリバ剣して初めてです。

 相手チームは先鋒だった方を代表に出してきた。
 試合はもつれ、長引きましたが、私の心は落ち着いてました。一方、お相手は早く勝負を決めようとあせってきた。
 お相手が無理に攻め込んできた刹那、小刀でお相手の竹刀を打ち、同時に大刀で「面」を打った。
 これ以上ない理想的な勝ち方でした。リバ剣して、こんな展開までは考えたこともなかった。
 監督の驚いた顔が見えました。

 続く準決勝は、強豪校OBチームにあっさり負けました。

リバ剣後、初の団体戦は3位


 結果は3位でしたけど、うれしかったですね。
 準々決勝で代表戦に出て、勝てたことが大きかった。
 実は監督は、代表戦は先鋒の若手でいこうとしたらしいんですけど、私に決めたのはTNK先生の指示だったのだそうです。調子が悪くても私を信頼してくださったんだと知り、それに応えることができて本当によかったと思いました。

 また、聴覚障害者チームと対戦では、貴重なことを学ばせてもらいました。試合後に交流を持てたのは素晴らしい経験、この大会ならではのことです。

 団体3位の賞品はビール1ケース。トロフィーもらうより、こっちの方がよっぽどうれしい。笑
 3人で分けて、私の分は妻へのお土産に。私はビール飲まないので。

 エントリーに地域や職種、年齢などの制約がなければこんなに楽しい交流が生まれるんですね。
 主催者のTKHS先生に感謝申し上げます。素晴らしい大会に参加させていただき、ありがとうございました。


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