市民大会優勝で二刀を執っていく自信になった
改めて所属道場の皆さんに感謝
前回の投稿で、2012(平成24)年の浦安市春季市民剣道大会の壮年の部で、リバ剣後初優勝した日のことを書きました。(その様子はこちら)
"アンチ二刀"だった市剣連会長が私の試合に感動して興奮しながらスピーチしたり、大会後、たくさんの剣士の皆さんから声をかけて頂きました。本当にありがたいことです。
リバ剣してよかったと、心から思いました。
小学2年で剣道を始め、5年生の頃には市の大会で優勝するようになりました。それから中学3年までは市内大会で負けたことは1度もありません。当時は子供の人口が多かったので、試合は全部学年別。言わば"部門別"です。
今回の私も「壮年の部」という部門別の優勝ということで、これでやっとあの頃のレベルに戻すことができたんじゃないかなと思いました。
しかし、目標はあくまでも総合優勝。まだまだ始まったばかりです。
浦安の所属道場の先生方には、感謝の気持ちでいっぱいです。
リバ剣して初段だった私がいきなり二刀で稽古し始めることができたのも、皆さんの理解があったから。これも奇跡的なことだったと思います。
剣道界にはいまだに二刀に対する誤解や偏見は残っていますので、ある程度はそれを覚悟していました。しかし、この道場でそういったことで嫌な思いをしたことは一度もありません。本当にこの道場で剣道を再開できたこを幸運だったと思っています。(二刀に対する偏見とは、こちら)
私との立合いを望んで
市民大会の翌週あたりから浦安の所属道場にも、私との立会を望んで出稽古にお見えになる方が現れ始めた。
壮年の部で優勝した二刀者とやらと稽古してみたい、と思ったんでしょうね。
もし私が高段者だったら、そうは思ってもなかなか出稽古に来ずらいと思います。しかし、それがリバ剣おやじでまだ二段と聞いて、気軽に出稽古に来て頂いたんではないでしょうか。
これは、私にとってはありがたいことで、自分の道場にいながら、普段お会いすることができない方々と交剣できるんですから、稽古の質が変わっていき、大変勉強になりました。
最初はご近所の道場の方がお見えになることが多かったのですが、次第に遠方からもお見えになったり、驚くような経歴の方もお見えになるようになるのですが……。
困ったことに、お見えになる方は皆、100%の確率で私よりも高段である、ということです。笑
私は二段でしたからね、当然のことなんですけど。立合いを受けて立つほうが段が下なので、気持ちの上でのやりずらさは否めません。
そんなことを考えつつ、市民大会から3カ月後に、次の昇段審査の日がやって来ました。
三段審査
審査前に現れる人
この2年前に二段を受審したときは、二刀で受審することに随分と迷いましたが(その時の様子はこちら)、今回の三段審査はまったく迷うことなく二刀で受審しました。
しかし、段審査の日が近づいてくると必ずこう言う人が現れる。
「二刀で段審査を受けても受からないよ」
今回もいっぱい現れました。笑
二段も二刀で受審して合格していますと伝えても、「三段はそうはいかないよ」って言うんです。二段を二刀で受審する方がよっぽど難しいと思うんですけどね。
でもまあ、この時はこういう人の声にも惑わされることなく、審査当日を迎えることができました。
2012(平成24)年8月12日。
初段から三段の審査会場は、前回と同じ市川市の総合体育館。(二段受審の時の様子はこちら)
朝8時半に会場入りして着替えを済ませ、受付をしてウォーミングアップに入る。
ほどなく開会式の時間となって、それぞれの受審段位の列に並んだ。
三段を受審可能な年齢は高校1年生以上。ですから、受審者のほとんどが高校生です。
私のような中年おじさんは非常に少ない。最後尾に並ぶ40歳以上の方は、私を含め3人でした。
審査開始 一人目
審査は4人一組で受審します。自分以外の2人と1回ずつ立ち合いますので、審査を2回受けることになります。ですが、私たちの組は端数のこの3人。この日の受審者の中の"最年長トリオ"です。笑
体育館のアリーナは3会場に分かれていて、私たちの審査が始まるころには他の2会場はすでに審査を終えていました。つまり、会場にいる全員が私たち3人の立会いを見るというシチュエーションです。
一人目のお相手は男性で外国の方。
「はじめ」の号令と共にグイグイ前に出てきた。間合いの攻防がまったくない。とにかく近間(ちかま)に入って打とうとしているのです。
二段の審査までは基本ができていればいいんですけど、三段の審査は理合(りあい)がなければなりません。打突の機会をとらえている必要があるのです。
しかし、こんなに近間にどんどん入って理合なしで打ってきたら、双方が不合格になる可能性がある。
「これは、このお相手が打つ前にすべて仕留めてしまうしかない」
瞬時にそう思って、お相手が中段に構えたまま近間に入ろうとするその刹那を、小刀でお相手の竹刀を斬るのと同時に大刀で面を打った。
二天一流の「二か所同時斬り」です。
5人の審査員が一斉に「うぉーっ!」と歓声を上げたのが聞こえました。審査員は、歓声を上げてはいけないんです。でも、上げちゃってる。
お相手は、なおも同じ方法で近間に入ろうとしますので、すべて「二か所同時斬り」の面で仕留めた。手応えは充分すぎるほどありました。
二人目
二人目のお相手は女性でした。
その方は審査の順番を待っている時に、私の竹刀のが2本あり、そのうちの1本が小刀であるのに気づいて話かけてきた。
「二刀流なんですか」
その顔が、もう不安そう。
そりゃそうですよね。審査に来て普段やったことのない二刀者とあたるなんて、「聞いてないよ」って感じだと思います。
聞けば、30代の頃にお子さんと一緒に初心者から剣道を始めたそう。あまりに心細そうな顔をしていたので、こう伝えた。
「二本の竹刀に惑わされないでください。ご自分の構えを絶対に崩さないように。私の面だけをねらって、打ち切ってください」
二人目の立会いが始まりました。
お相手はアドバイス通りに、堂々とした構え。
でも、困惑したのは私の方で、あまりに素晴らしい構えで機が作れないんですよ。汗
正直、あせりました。こちらの攻めに対して一切反応しないのです。
余計なアドバイスをしちゃったなと後悔しました。苦笑
反応しないなら打ってきたところを合わせれば、相面で仕留められるだろうと高をくくった、次の瞬間です。
スパァーン!
打たれたのは私です。バックリと面を打たれました。
相手の“出ばな”を待つ。そのこと自体が「受け身」になっているんですね。完璧に打たれました。
そのあと、私も何本かいい打突がありましたけど、審査員の目にはどう映ったんでしょうかねぇ。とにかく、面を打たれたことがショックでした。
結果は、三段合格。
お相手の二人も合格してました。
閉会式がおわって観覧席に引き揚げようとすると、市川市剣道連盟会長のTNK先生が声をかけてくださった。実は二段のときと同様に、5人の審査員のうちの一人がTNK先生だったのです。(TNK先生とはこちらをご覧ください)
「おめでとう。満票で合格してたよ」
ホッとしました。